2025年2月12日水曜日

高齢者の臨床心理

 昨年受講した認定機能回復師の講義内容です。

実際の臨床経験談も交えてのお話で、とても勉強になりました

川崎幸クリニック 臨床心理士 稲富正治先生のご講義より

【高齢者の臨床心理】

*高齢者の心理=一言でいうと、「喪失感」身体的な喪失・精神的な喪失・社会的な喪失➡身近な人の死

逆に増えるもの=マイナス感情・孤独感・不安感・将来の希望のなさ・死の恐怖「昔は笑えたけど、今は笑えない」将来への展望がなくなると、過去に目を向ける事が多くなる。それも段々と少なくなり、「心の視野がせまくなる」心、感情などはゆっくりと心の片隅に置かれていく

毎日の生活、日課、習慣が大事になっていく➡イレギュラーに弱い(気晴らしの旅行のはずが、疲れ、体力、気力の消耗となる)

無意識の中で、じっくりと自分に襲い掛かってくる恐怖感、孤独感。最近の社会的な出来事などに関心が向かなかったりする。もっとも生き生きした記憶は、過去のものばかり 回想法・共通点・目を輝かせて話を聴く(何回でも初めて聞いたかのように)

「接し方」できれば不安を和らげたり、マイナスの感情を少しでも忘れたりできるような関わりがうれしい。昔の話をしているなら、その話に付き合う。

心地よく会話をするには、どのような聞き方、接し方、質問の仕方が良いのか? 

 

『基本的にコミュニケーションはズレるものという理解は必要』

その背景には、集中できない事や、自分の疲れ、棚上げできない問題などがみられる。

    普段からの心理的な疲れなどの事故チェックが必要。『自我により、自我の為の一時的部分的退行』 

=自分の疲れに気づき、自分が自分の為に行う心の癒し。退行は心のエネルギーの回復方法

    心の余裕の無さ=間が持てない形で現れる、結果を焦っている

    理解力の問題

    伝える能力の低下=「聴く」は「伝える事」でもある

    人を信じられない心=不安が強いと人を信じられなくなる。肯定的な関心が持てない

    自己中心的な発想=視野の狭さ。人の体験は主観的なもの。だからこそ認めたい

    考えの柔軟性の乏しさ

    自分の言動に対する無自覚さ=自分の言動が相手にどう影響を与えるかとういう「見立て」が必要

★「いつになったらよくなるのですか?」→結果を焦っている。見捨てられるのが不安。

止めたいけど、やめてはいけない。薬で治る(50%)眠るのは身体の回復力を高める

 

『ストレスの出口「態度・行動」「身体的反応」「症状化」「言語化」という理解』

「身体化」ということ。鍼灸マッサージでは、基本的には「言葉」を用いる事が多いです

しかし、「どうせ分かってもらえない」「話してもしょうがない」となると話さなくなる。そうすると、ストレスは出口を求めて態度や行動に出る。

それでもダメな時は「身体化」する=自律神経失調症・心身症・身体的表現性障害と言われるもの。「とにかく気持ちを話してもらう」

 

それ以上にストレスが高まると、「精神」面に出てくる。最初は情緒面に。その後に人格面に表現しやすくなる。つまり病理が重くなる=葛藤がなくなる。

★結局、言葉にしていく作業が大切になる。

鍼灸マッサージが実用な症状や状態でも、施術と同時に、本人の辛さを言葉にしてもらう作業が同時進行で行われる事が大事になる。

 

「施術をするという事」

ともすると、一方通行の行為におちいりやすい。痛み、反応、症状に至るまでの経過、自覚していることと、自覚していない事などを言葉にしてもらう作業も大事になる。=相互交流

アドバイスや必要な事は山ほどあるが、実際に人にもらうアドバイスがどれだけ本人に役たつかを考えたい。(タイミングが大事)

    分かっていても変えられない事

    実際には、無理な事

    やっているが続けられない事

    身体症状を引き出す生活が「行動化」と考えるならば、注意では変化をもたらすことはできない

★変えられないものを受け入れていく落ち着きと、変えられないものを変えていく勇気が必要。そして、この二つを見分けられる賢さが欲しい

 

「関わり行動」

話を聴く(傾聴)話の内容・本人の態度や姿勢や身体表現などを観察する。質問上手になること。話の内容ばかりでなく、その背景にある感情にどのくらい耳を傾けられるか。

感性豊かになる事。 言う事と伝わる事は違う。見ても観てない。聞いても聴いてない。一緒にいるのに感じない。・・・とならないよう注意したい

 

「共感」は口ほどに簡単ではない。

共感」「同感」「同情」「同一視」などは別物 「共感」は無理➡共感的理解

「共感」は思った以上に「温かさ」と「冷静さ」をもっている「生きるとは」「死ぬとは」「健康とは」など、色んな事を考え、話し合える場を持つ事も大事。

対人援助の場面で気をつけておかねばならない事は、「援助者の安心が必ずしも利用者さんの安心とは限らない」ということ

アンバランスのバランスという考え方。自分の利用者では、世界の違いがあるという事を常に意識していること。

「踏みとどまること」「問題をなくそうとする強い思いが、焦りや緊張を呼ぶ。」・・・ソロソロと関わる。一発で解決しようとしない

川崎幸クリニック 044-544-1020  臨床心理士 稲富正治先生のご講義より



〰〰〰鍼灸おかだ治療院〰〰

月・木曜日:9時~12時・16時~18時(最終受付)

土曜日:9時~18時

日曜日:9時~15時

(☎)0745-43-7444 

お電話はつながりにくいので、留守電にメッセージをお願いいたします。折り返しご連絡させて頂きます。


LINE ⇦LINEからご予約して下さると、初回のみ¥500円割引きさせて頂きます。

Instagram ⇦DMからでもどうぞ

しんきゅうこんぱす ⇦こちらからもご予約頂けます。



0 件のコメント:

コメントを投稿

脳疲労と鍼刺激について…粕谷大智先生の講義より

脳への鍼灸治療の影響 先生の講義に最近ハマっています。 ★脳疲労について…脳の炎症 l   6か月以上の疲労感(慢性) l   微熱、頭痛、喉痛、リンパ節の腫れ、 l   筋肉痛、関節痛、脱力感、集中力低下、 l   不眠、過眠 l   イライラ、不安、うつ症...